国家の「暴力」の起源

 朝日新聞の「be」の記事「(NIPPON 映画の旅人)やんちゃな勝新の魅力が投影された『兵隊やくざ』」より。

 軍隊とは、市民を暴力から守るため、安全のため、国家に独占させた暴力装置である――。近代社会に根強い考えだ。

 だが最近、この“常識”は「倒錯した考え」として批判されることも多い。順序はむしろ逆。暴力、実力で優位にある団体が、住民を支配し、税を徴収し捕獲し、暴力を独占することで、ついに国家の起源となった、というように。

 先にあげたドゥルーズも書く。

 「犯罪は、非合法の暴力であり(略)、捕獲する『権利』のないものを捕獲すること」。対して、国家の暴力は「捕獲する権利を制定しながら捕獲するという暴力なのである」(『千のプラトー』)。

 確かに、「この場合は捕獲(強制)していい」という〈場合〉を、自分で決めながら捕獲するのだから、なるほど国家は、地上最強ではあるだろう。


 勉強になる。